· 

理想の社長像

 リーダーシップがあって強く、部下から尊敬される社長、すなわちスーパーマン。こんな風に自分があらねばと、常に創業社長や尊敬する社長と比べプレッシャーに感じる2代目3代目の社長も多いのではないでしょうか。今回はそんな理想の社長についてまとめました。

 ご支援させてただく経営者の方で感じるのは「どうしたらよいのか分からない。」「自分は部下にどう見られているのか気になる。」「自分の代では会社を潰したくない。」などの共通の悩み思いを感じることがあります。思いつめて視野が狭くなった経営者の方からすると誰にも打ち明けられる悩みではない。リーダーシップがあって強く、部下から尊敬される社長を見せなければいけないという気持ちから、ますます自分で何とかしなければと思い、だれにも相談できず、自分を責めてしまう傾向にあると思います。

 そんな方にまずおすすめしたいのが『スーパーマン社長』を辞めることだと思います。辞めた方が良い理由は3点あります。

①時代背景が違うことを認識する。

かつて日本は人口が増加して需要がどんどん増えていった。人口増加に伴い店舗も製品も増えていった。このような外部環境の時の経営はすべてが当てはまるとも言えませんが、外部環境の力を借りて真面目にやれば会社が大きくなることが出来ました。実績が経営者の自信にも繋がり、好循環を生んでいたと思います。しかしながら現代は人口減少、ものあまりの時代です。より情報を整理し環境に適応する組織が必要となります。経営者が考えて後は行動する社員だけでは対応できません。

②自分の時間を膨大に消費する(非効率)。

経営には速度が必要です。どんな企業でも売り上げに関係なく、固定費が発生するからです。社長がすべての作戦を考えた場合、規模とともに膨大な時間を消費し、やがて限界を迎えます。

③適応能力不足。

 人間は年齢を重ねてくると過去の成功体経験にとらわれ、環境にあった行動をとれなくなってきます。柔軟性のあった豊臣秀吉なども最初はうまくいっていても、晩年は別人のような振る舞いをして国を傾けました。多かれ少なかれ人は誰でも環境適応能力は下がってしまうのが現状です。

 ではどうすればよいのでしょうか。目的に立ち返ることが重要だと思います。そもそも、なぜ『スーパーマン社長』にこだわるのでしょうか。それは会社を発展させたいという『目的』があってのことだと思います。会社を発展させることが目的であれば『スーパーマン社長をやめましょう。部下の話を聞きましょう。部下は市場の変化を若い感覚でつぶさに見て、肌で感じています。その意見を真剣に聞いてあげてください。この意見を言うと決まって聞こえてきそうなのが、「部下に意見を求めても意見がない。」「部下の意見に経営的に得るものがない。」になります。この理由は2つあり、一つは経営者が真剣に部下の意見を聴こうとしないという経営者の姿勢の問題であり、もう一つは普段訓練されていない部下からいきなり効果的な意見を望む方がおかしなことだということです。それには教育訓練が必要であり、市場の変化を捉え、会社経営をある程度は理解したうえで意見が言えるようになることが大切です。教育は時間がかかり見えずらいと思われがちですが、好循環を継続できる仕組みを持つ企業が必ず行っている理由がこのあたりにあると思います。